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『デモクラシー』 [生活]

10年近く前、ロンドン・ナショナルシアターにてマイケル・フレインの『デモクラシー』という舞台を観たことがあります。69年から74年までドイツの首相だったヴィリー・ブラントと、後に東ドイツのスパイだと判明した彼の個人秘書を中心とする政治的(かつ人間的)な作品でした。当時の私が全てを理解したとは思いませんが、敬愛する俳優のロジャー・アラムが演じた1シーンが未だに脳裏に焼きついています。戦後のヨーロッパ史を生きた人達には有名な出来事、でも無知な私は知らなかった事実……。それは70年にヴィリーがポーランドを訪れた際にゲットー跡地に赴き、そこで土下座の形で額を地面につけて『申し訳なかった』と謝罪するシーンでした。『遺憾に思います』といった曖昧な言葉ではなく、はっきりとした謝罪でした。ヴィリー自身は反ナチス、戦争中は亡命先の北欧で地下活動を行っていたのですから、彼個人には負い目はなかった筈です。けれども戦後に国家を統治する地位に就いた時、彼はドイツという国がした事の責任を負ったのです。

現在のドイツの首相であるメルケル、彼女は熱心な原発推進派だったとか。けれども日本で福島の事故が起きた際に、真っ先に原発廃止を決めたのは日本ではなくドイツでした。

ドイツの政府には、表には出て来ない哲学者の存在があるそうです。第二次大戦の過ちを繰り返さぬよう、今の利益や利便だけを推し量るのではなく、未来に自分たちの選択がどう評価されるか、人間として生きる道に外れていないか、それを常に問うために…

原発は100%安全ではない、それが分かった時に哲学者たちは何と言ったのでしょう? その意見に耳を傾けてポリシーを変えた首相、ドイツという国。

そして同じ敗戦国の日本。戦後、勤勉さや経済成長において相似点が強調されてきた二つの国ですが、本質的には別々の道を歩んで来たようです。

世界に誇れる憲法9条をないがしろにして、いまだに戦争の過っていた部分を明確にせぬまま軍や徴兵と言ったり、福島の原発が現在進行形で世界を脅かしているのに原発推進を謳う政治家たち。

でも!幸運なことに日本は『デモクラシー』の国です。自分たちの国が進む方向を自分たちの手で選べるはずなのです。それは大きな救いだと思っています。救いとなって欲しい…